トラックドライバーの荷物の積み降ろし時の待ち時間の実態を調査しようと国交省が躍起になっているようだが、どうやらその記録義務を我々物流企業とそのドライバーに負わせようというなんとも役所側にとって都合のいい新聞発表。
あたかも「我々(役所)は一生懸命やっているんです」と言っているように見えるのだが、我々に新たな規制を設けただけ。
それよりももっと大切なことがお役所にはわからないようだ。
メーカーにせよ卸売業にせよ小売業にせよサプライチェーンの中で最大の悪は「在庫」であって、各企業はこの在庫というぜい肉を削ぎ落とすための血の滲むような努力をし続けた結果が日本の企業の競争力の源で、その右代表がトヨタの「かんばん方式」といえるだろう。
従って出荷荷主は「荷物が出来次第すぐに積みに来い(在庫したくないから)」
配送先顧客は「必要な時に必要なだけ持ってきて(在庫したくないから)」
と、商品を出す側も受ける側も「在庫は悪」という呪縛のもとにこのような要求を我々物流企業に課せるのだ。
つまりこの在庫の調整弁役も顧客のニーズがある以上我々物流企業の大切な仕事なのである。
この記事では荷待ち時間のコストを荷主側に負担させようというたくらみのようだが、荷主企業は相変わらず「5時に荷物ができるから5時きっちりに積みにきてね」
配送先顧客は「8時に来てね(早くても遅くてもダメよ)」ということになり、荷物を積んだトラックは顧客のところで待たないでコンビニで時間調整することになるのであるが、トラックも我々物流企業もれっきとした在庫の保管場所であって、顧客にとっての悪である在庫も我々の大切なお客さんなのである。
従ってこの新しい規制は我々にとって面倒なだけでなんの効果もないし、なんの解決にもならないだろう。